基準策定の考え方
共通質保証基準とは
共通質保証基準とはアジア全域で質の保証を伴った大学間交流を活発化させるうえで、プログラムに望まれる質とはどのようなものか、その質を維持・向上させるにはどうしたら良いか、プログラムに関係する人々にとって共通の参照点となることを意図した基準です。特に、交流を図る大学同士が互いの教育環境・体制を十分に理解し、相互に協力し補い合いながら持続的に質を高めていくための道しるべとなることをねらいとしています。
基準に必要な要素
共通質保証基準には次のような要素が不可欠と考えられます。
- 多様性の考慮
アジアでは、各国の多様性に加え、ダブル・ディグリーやジョイント・ディグリー等の学位プログラム、1セメスター以上の期間にわたる交換留学、短期集中プログラム等さまざまな交流形態のプログラムが展開されていることから、多様性を前提とした基準が求められます。 - 柔軟性の促進
パンデミックや社会情勢の変化等による不確実性の高い時代でも学生の学びの継続性を担保するための、適切な教育方法、支援体制等の整備を促す基準が望まれます。 - 持続的な質保証支援
質保証の基本原則を踏まえ、大学コンソーシアムが自ら実施している質保証の取組―内部質保証メカニズム―について、基準を通じて一層の構築・機能促進を図り、プログラムの自律的・持続的な質保証・向上の取組を支援することが望まれます。
策定に向けて
このような要素を取り込んだ基準の策定に向けて、大学・学生間交流プログラムの海外事例や留意すべき質をまとめたガイドライン・参照文書等の収集・整理を行います。
特に、すでに政府レベルで合意形成されているガイドラインを参照しながら、基準に求められる観点を丁寧に検討し、基準の道筋を定めます。そのうえで、中国、韓国及びASEAN各国の質保証機関をはじめとした関係機関との協議や連携を図りながら、基準策定に取り組んでいます。
主要な参照事例
- Guidelines for Exchange and Cooperation among Universities in China, Japan and Korea with Quality Assurance(日中韓の質の保証を伴った大学間交流に関するガイドライン)
2010年の第2回日中韓大学間交流・連携推進会議(北京)での議論に基づき合意されたガイドライン。日中韓3か国の大学間における質の保証を伴った交流・連携の推進に向けて、政府・大学・質保証機関等それぞれに期待される取組をまとめている。 - ASEAN Plus Three Guidelines on Student Exchanges and Mobility(ASEAN+3学生交流及び流動性に関するガイドライン)
2016年の第3回ASEAN+3教育大臣会合(マレーシア)にて採択されたガイドライン。域内の国際学生交流プログラムが含むべき要素や、学生に対して伝達すべき情報をはじめ、プログラム構築や実施において参考とすべき指針を提示している。 - Joint Guidelines for Monitoring International Cooperative Academic Programs in CAMPUS Asia (Second Edition)(「キャンパス・アジア」国際共同教育プログラムのモニタリングのための共同ガイドライン)
機構が中国及び韓国の質保証機関と共同で2020年に策定したガイドライン。日中韓の大学コンソーシアムが展開する教育プログラムの状況を把握し、その質の向上に寄与するモニタリング活動を行う上でみるべき観点が基準の形で整理されている。
3つのガイドラインは、共通質保証基準策定の観点から見ると様々な要素を備えていることから、例えば次の表に示した特徴的な項目に着眼し、共通質保証基準づくりに活かします。
主要な参照事例一覧
ガイドライン | 特徴的な項目 | 参照事項 |
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Guidelines for Exchange and Cooperation among Universities in China, Japan and Korea with Quality Assurance 日中韓の質の保証を伴った大学交流に関するガイドライン |
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ASEAN Plus Three Guidelines on Student Exchanges and Mobility ASEAN+3学生交流及び流動性に関するガイドライン |
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Joint Guidelines for Monitoring International Cooperative Academic Programs in CAMPUS Asia 「キャンパス・アジア」国際共同教育プログラムのモニタリングのための共同ガイドライン |
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その他の参照事例
ASEANを中心にSEAMEO-RIHED(東南アジア教育大臣機構高等教育開発地域センター)が推進する学生交流プログラムであるAIMSプログラム、さらに欧州における教育・訓練・青少年交流等を支援するための欧州委員会による助成金プログラムであるエラスムス+(プラス)の事例収集も行います。
加えて、2021年度大学の世界展開力強化事業の審査要項の評価事項についても、基準の観点の参考とします。
その他の参照事例一覧
資料 | 特徴的な項目 | 参照事項 |
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Preparation Cecklist, The AIMS Programme Operational Handbook (Second Edition) AIMSプログラムハンドブック 準備チェックリスト |
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Erasmus Charter for Higher Education 2021-2027 Guidelines 高等教育のためのエラスムス憲章2021〜2027年ガイドライン |
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2021年度大学の世界展開力強化事業審査要項 |
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