「質保証」の関わり
質の保証を伴った学生交流‐「キャンパス・アジア」の理念
アジアにおいて国際的な学生の交流規模が拡大する中で、国際通用性を備えた質の高い教育を実現するためには、大学、政府、質保証機関などの関係機関が「質」に関するそれぞれの役割を遂行しながら、大学・学生間交流プログラムを展開することが不可欠です。
プログラムの質を保証する取組は「キャンパス・アジア」構想を支える活動であり、本構想の立ち上げ当初から様々なアプローチが試みられてきました。
日中韓の3か国の政府・大学・産業界関係者による「日中韓大学間交流・連携推進会議」は、大学間交流を促進するための3か国間のガイドライン"Guidelines for Exchange and Cooperation among Universities in China, Japan and Korea with Quality Assurance"(日中韓の質の保証を伴った大学交流に関するガイドライン)を2010年に策定しました。政府、大学、質保証機関など関連するステークホルダーがそれぞれの責任を実行し、大学・学生間交流プログラムの実施および授与される単位・学位の質を保証するために共に努力することが求められています。
日中韓3か国の質保証機関は、このガイドラインの理念に沿って、構想の立ち上げ当初から日中韓の大学コンソーシアムの質保証の支援に取り組んできました。
「キャンパス・アジア」の質保証の取組を支援~モニタリング活動~
日本、中国、韓国の3か国の質保証機関(日本:大学評価・学位授与機構(当時)、中国:中国教育部高等教育教学評価センター(当時)、韓国:韓国大学教育協議会)は、国際的な教育における質保証の在り方を共通の課題と認識し、2010年3月にこれらの3機関による「日中韓質保証機関協議会」が発足しました。本協議会では、国際共同教育プログラムの質の保証・向上を促進するため、「キャンパス・アジア」プログラムを質保証の側面から支える3か国共同の取組として、モニタリング活動を実施してきました。モニタリングは、教育の質の観点から各プログラムにおける優良事例を抽出する取組であり、優良事例を報告書にまとめ国内外に広く発信しています。
<これまでの取組>
「キャンパス・アジア」第3モードにおける質保証の取組 ~共通質保証基準の策定~
「キャンパス・アジア」を日中韓3か国の枠を越えて発展・拡大させ、さらなる学生のモビリティ向上と調和のとれた大学・学生間交流を推進する上で、質保証の役割はさらに重要性を増してきます。
とりわけ、多様な高等教育制度を持つアジア各国の国・地域を超えたプログラムの質を保証するためには、各々の制度の相違を踏まえながら、国際的な大学・学生間交流プログラムとして備えておくべき質とはなにかについての共通理解を深めることが重要です。また、プログラムを実施する大学自身が持続的に質保証に取り組めるような枠組みの形成が望まれます。
そこで、「キャンパス・アジア」モニタリングに引き続き、日中韓3か国の質保証機関など関係機関が連携し、アジア諸国の大学コンソーシアムの持続的な質保証の取組を支援する枠組みとして、共通質保証基準の策定に取り組んでいます。
日中韓3か国をはじめ関係各国の政府、大学コンソーシアム、質保証機関の共通認識を得ながら共通質保証基準を策定し、広く質保証の持続的取組に供することで、質の高い国際的な大学・学生間交流の促進へとつなげていきます。